気仙沼線BRT化工事の様子

  • Dscf2709
    先月末のことです。当会有志とその知人で、宮城県沿岸部を旅行していたところ、東日本大震災で被災したJR気仙沼線のBRT(バス・ラピッド・トランジット:バス高速輸送システム)としての復旧工事が進められている現場を、偶然見かけました。このBRTは、8月20日にも暫定運行開始だそうです。交通まちづくりにご興味のある方には、それなりに希少な写真だと思いますので、このウェブサイトのテーマからは少し離れますが、ご覧いただきたいと思います。 撮影:2012年7月29日
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2012年1月23日 (月)

「路面電車・鉄道の消費電力について」の改訂版です

 今年もよろしくお願いいたします。
都電網研究会では、2011年の夏以降に電力不足が懸念されてきた状況をうけて、
記事を改訂することとしました。
 内容が増えましたので、PDFファイルをダウンロードしてご覧ください。
皆様がお読み頂いて同意できる内容であれば、他のご関心のある方々にも
ご紹介いただければ幸いです。

「120123_denryoku.pdf」をダウンロード

2011年8月14日 (日)

オピニオン:路面電車・鉄道の消費電力について(3/3)「間引き運転などによる節電では、積極的な解決にはならない」

 最初に、ピーク電力カットにおいて鉄道は重点でないと書きました。その後の説明で、鉄道など機関の中で省エネや環境負荷低減に役立つ機関もその他も「みんなで一律に削減」ではないことも理解していただけると思います。  

 今年から数年間は夏を中心に節電が求められます。鉄道でも省電力努力はすべきで、例えば駅などの施設の電力消費について、自動販売機はエコベンダーが普及しているとは言え、あまり利用されていないものを削減したり、冷房の一部系統を止めたり、照明を半減させたり、一部のエスカレーターを止める、などの手があります。

 また、車内の冷房については寒過ぎるとしばしば苦情がありますので、弱冷房車を増やすといったことも考えられます。来年に向けては駅など施設の省エネ投資をして効率を上げる、中期的には省エネ車両の導入を前倒しして、同じ輸送量でもエネルギーだけ減らし、効率改善を図る方法があります。

 ただ、今年について言えば、間引き運転という対応は、来年以降さらに省エネを積み増しというのは困難です。また、高齢者、障がいがあるなどで足腰の弱い方々のためにバリアフリーの経路を最低1系統は残す、視覚障がい者のためには消灯すると見づらい案内サイン類は点灯するなど、これらの方々(移動制約者)が外出が困難にならないよう、配慮が必要です。

 このようなことから、大きな節電を前提とし、今後も節電を進める中で、路面電車や鉄道をはじめとした公共交通へのエネルギー供給が優先的に行われる必要性を感じます。また、来年以降に向けては「暑さの我慢大会」をさらに加速するようなことは難しいと考えられますから、省エネ設備投資を円滑に行い、エネルギー効率を大規模に改善していくしくみづくりが期待されます。

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 皆さんにおかれましては、省エネ機関としての路面電車や鉄道の意義を再確認し、その電力消費を間引き運転でもいいからと持続不可能な形で減らすのではなく、その活用を増やすことで日本のエネルギー消費効率を上げ、日本全体のエネルギー消費を継続的に減らすものと位置づけ、国民全体でエネルギー問題を議論する上での路面電車や鉄道の役割を考えていただけるとありがたいと思います。(了)

オピニオン:路面電車・鉄道の消費電力について(2/3)「むしろ路面電車・鉄道は効率がよく、大気汚染やCO2排出も少ない」

  まず、鉄道は省エネ型の乗り物です。人を運ぶエネルギーは、鉄道は車の約10分の1で済みます。そこで、今後は鉄道を大いに活用していくことが環境問題・エネルギー問題の解決の一つになります。

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 電気を使わないからといって多くの人が鉄道から車に移れば、単純計算でエネルギーを10倍使うことになります。3月は電気だけでなくガソリンが不足しました。計画停電実施当時、鉄道が昼間止まったことが車の利用を増やし、ただでさえ製油所が止まってガソリン不足のところに拍車をかけた側面も否定できません。

 夏の節電でも、鉄道の間引き運転で多少の節電になったとしても、仮に乗客が車利用に移り節電した分の10~20倍のエネルギーを使えば、結果的に大きな無駄となります。発電用燃料の値段も上がって、ますます困った事態になるでしょう。

 鉄道が車利用の全てに取って代わることはできませんが、都市部など鉄道の有利なところでは鉄道の利用を増やし、トータルでエネルギーを減らし、環境負荷と社会的損失を減らしていくことが大切です。

  次に、鉄道は、大気汚染や温暖化の原因物質や熱の排出が、車と比較して非常に少ないことも利点です。

現況の車の過度な利用は、都市部では大気汚染公害の原因になっています。石油消費は温暖化を加速し、その被害は徐々にあらわれ将来世代を圧迫します。また、車の排熱はヒートアイランドの原因になります。環境省調査では、原因の4分の1は車です。ヒートアイランドは将来の温暖化の被害を先取りする形で突発・局地的な集中豪雨など不安定な気候をもたらし、私たち都市住民に現実に被害をもたらしています。

  さらに、車の利用増は渋滞の原因になるとともに、車利用者自身にとって時間的・金銭的負担増にもなります。

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 路面電車や鉄道が使っている電気は、質の高いエネルギーです。現状では、発電所の発電ロスの大きさが(車のエネルギーロスほ ど大きくないものの)無視できませんが*3、様々なエネルギーを選べるのが利点です。石油等のように近い将来枯渇したり価格が急騰しかねないエネルギー、 石炭や原子力などの環境負荷の大きな燃料でなく、将来は再生可能エネルギーの発電を消費者の側で選ぶこともできます*4。(続く)  

*3: 火力発電所では使った燃料のうち約40%が電気になるだけで、残りの約60%は熱として捨てている。原子力発電所はこの割合が約33%とさらに低い。
*4: 欧米のように発送電分離になり、消費側が電気を選べる制度に変わる場合。

オピニオン:路面電車・鉄道の消費電力について(1/3)「路面電車・鉄道の電力消費は大きくはない」

 2011年3月11日の東日本大震災以降、多くの発電所が停止し、電力不足が懸念されました。電力需要の多い夏を迎える前に火力発電所の多くが復旧し、追加電源もとりつけられ、原子力発電所は徐々に停止しているものの、東京電力では需要予測を上回る電源があります*1。ただ、需給に余裕を持たせるために大口電力需要者むけに電気の使用制限が課せられ、首都圏でも都電・鉄道の運行本数を減らす「間引き運転」が行われています。  

 これについて、一部には、鉄道が多大な電力を使用しているからであるとの誤解があります。しかし、鉄道の消費する電力は、実際には平常通り運転をしても東京電力管内消費電力の2.1%に過ぎず、都電荒川線・都営地下鉄に至っては0.2%でしかありません*2。

 

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 夏のピーク電力を削減するにあたって、鉄道は重点ではありません。それだけでなく、鉄道の活用は、夏のピーク電力削減と共通に取り組 まれる環境やエネルギー問題の解決に大きく貢献します。今年や来年の夏のピーク電力削減は、温暖化・大気汚染などの環境問題、資源枯渇対応やエネルギー安全保障などエネルギー問題への対応で第一歩になりますし、共通の対策で対応できます。その際に、輸送において、交通量を増やさないように注意しながら、鉄道の割合を増やし、車の割合を減らしていくことが重要です。(続く) 

*1: 東京電力の7/28発表。なお、7/29の政府「エネルギー・環境会議」は、東京電力自体の最大電力予測ではなく昨年猛暑の際の需要になることを前提に、原発が止まると「電力不足」としているが、NGOなどは、原発が止まっても電力需給には余裕があるとしている。

*2:2009年度の1編成の消費電力データより推定。